なぜゲーミングPCは光るようになった?
1. 「中身を魅せる」自作文化からの延長
- もともとPCケースは中身が見えない鉄の箱が主流でした。
- 自作PCコミュニティで、透明サイドパネルやLEDファンを使ってパーツ構成を作品として見せる文化が広まり、これがゲーミングPCにも輸入されました。
- グラボ・水冷・メモリなど、見せたいパーツが増えた結果、「せっかくなら光らせて強調しよう」という流れが定着します。
2. ゲーミングブランドのマーケティング戦略
- ROG、MSI、Razer、Corsair などのゲーミングブランドは、「光=ゲーミングっぽさ」として強く打ち出してきました。
- RGB対応キーボード・マウス・ヘッドセット・マウスパッドなどが次々登場し、一式光らせて「統一感のあるゲーミング環境」を作る提案が進んだことで、光る=ハイスペック感・プロっぽさというイメージが固定化されました。
3. LED技術の進化とコストダウン
- LED等で安価に光らせる技術が普及し、
- マザーボード
- グラフィックボード
- メモリ
- CPUクーラー
- ケースファン
などに標準機能として組み込みやすくなりました。
- 「光らせたほうが売れる」「差別化しやすい」ため、多くのメーカーが積極的に採用しています。
ゲーミングPCが光る“意味”:ただの飾り?それとも機能?
1. 視覚的なモチベーションアップ・没入感
- ライティングをゲームの世界観やキー入力と同期させることで、没入感を高める演出として使われています。
- 例:ダメージを受けると赤く光る、ULTが溜まると特定色に変わる、音楽やリズムゲームに合わせて発光パターンが動くなど。
2. ステータス表示・実用インジケーター
一部のソフトやマザーボード機能では、RGBを状態表示に使えます。
- CPU温度が高い時は赤、低い時は青
- 負荷状況、ファン回転、ネットワーク状態などを色で示す
「パッと見で状態把握」ができるため、配信者や自作勢には地味に便利な用途です。
3. コミュニティ・アイデンティティ
- RGBライティングは、SNSや配信で「自分の環境を見せる」文化とも結びついています。
- 光り方や配色は、そのまま自分のスタイル”の記号にもなり、ブランドカラーやチームカラーに合わせて組む人も多いです。
「うるさい・まぶしい・ダサい」と言われる理由
1. 眩しすぎ・チカチカしすぎ問題
- デフォルト設定が「レインボーで常時グルグル」なことが多く、人によっては目障り・集中できないと感じます。
- 暗い部屋で配信や作業をする人にとっては、画面以外の明滅はノイズになりやすいです。
2. 安っぽく見えるパターンもある
- 発光色やディフューザー処理が雑だと、「ただ光ってるだけ」に見えてしまい、ハイエンド構成でもチープな印象になることがあります。
- 光の色味・輝度を整えるだけで一気に垢抜けるので、初期設定のままにしないのがコツです。
3. 電気代や寿命への不安
- LED自体の消費電力は非常に小さく、高負荷時のGPUやCPU電力に比べれば誤差レベルです。数W〜十数W程度が目安。常時フル発光にしても、月数十円程度の世界というケースがほとんどです。
- ただ、余計な常駐ソフト(RGB制御アプリ)が重い・不安定という問題はあり、そこを嫌って「全部消す」人もいます。
「光らせる派」と「消す派」:どっちがおすすめ?
光らせるのが向いている人
- 配信・SNSで見せるPC環境を作りたい
- ゲーミングデバイス一式(キーボード・マウス・ヘッドセット)を色で統一したい
- ゲームや音楽と連動させて楽しみたい
- PCをインテリア・趣味の一部としてこだわりたい
消す/抑えるほうが向いている人
- FPSや作業で集中力を最優先したい
- 部屋を暗くしてプレイすることが多く、眩しさが気になる
- 仕事用PCとしても使うので、落ち着いた見た目にしたい
- 常駐ソフトを減らしてシンプルな環境にしたい
どちらも正解なので、「光っている=ガチ勢」「消している=わかってない」ということはまったくありません。
光を消したいときの消し方・抑え方
多くの人が気にしているポイントなので、要点だけ整理します(メーカーやマザボにより名称は変わります)。
- マザーボードのユーティリティ(Aura Sync、Mystic Light、RGB Fusionなど)で「消灯」「単色」「輝度変更」を選ぶ
- キーボード・マウスは専用ソフトでオフまたは省エネモードにする
- BIOS(UEFI)の中に「LED OFF(PCスリープ中/常時)」の項目がある場合も多いです
- どうしても制御ソフトを入れたくない場合:
- ライティング非搭載パーツを選ぶ
- RGBケーブルを挿さない/ARGBヘッダーを使わない
- 光るケースではなくシンプルケースを選ぶ
「買ったら一生ピカピカ」は誤解で、ほとんどの場合は好きなだけ消せます。
よくある質問(FAQ)
Q. 光っているとPCが重くなりますか?
ライティングそのものの負荷はごく小さいです。問題になるとすれば、RGB制御ソフトが重い場合ですが、設定後に常駐を切る・軽量なソフトに替えるなどで対処できます。
Q. 光るパーツのほうが性能は高いですか?
必ずしもそうではありません。ハイエンドモデルにRGBが付いていることは多いですが、「光る=性能が上」とは限らないので、クロック・冷却性能・保証を優先して比較してください。
Q. 電気代はどのくらい増えますか?
RGB部分だけなら数W〜十数W程度が一般的で、ゲーミング中のGPU消費電力と比べると誤差レベルです。気になる場合は輝度を落とすか、必要なデバイスだけ光らせる運用が現実的です。
Q. 光るのが嫌いなんですが、ゲーミングPCを買うのはやめたほうがいいですか?
いいえ、「光らせないゲーミングPC」は普通に選べます。RGBなし構成・消灯設定・非ガラスケースを選べば、見た目はビジネスPCでも中身はハイエンド、という構成も十分可能です。




